第363話 ■やまとなでしこ

 ちょっと前までなら、大和撫子と言えば、小泉今日子の「大和撫子七変化」を連想するのが王道だったはず(ちょっと前ではないか?!)。それが今ではひらがなとなって、松島菜々子のドラマを連想すべき状態にある。今クールのドラマ話のネタの始まりはフジテレビ月9の「やまとなでしこ」としよう。主演女優は松島菜々子、主演男優は堤真一。松島菜々子はまさに旬。主演女優がそれほど長く第一線では活躍できない昨今に月9とまでくれば、このドラマは後に彼女を代表するドラマになるに違いない。

 それにしても実に嫌な感じの女性に描かれている。打算と言うか、美貌を武器に(金持ちの)男に媚びる女性である。キャスティングを間違えればバッシングの対象となり、役者生命に影響を与えかねない、かなりリスキーな役所である。収入の90%を衣装や化粧品代に使い、安いボロアパートでカップラーメンをすすっている。このドラマを真に楽しむには彼女のおしゃれ(服のブランドやその値段)を理解しなくてはならないようだ。

 設定、ならびにストリーは既に多くの人がこのドラマを見ただろうし、多くのテレビ雑誌でも紹介されてているため、蛇足かもしれないが、彼女は貧乏のトラウマからスチュワーデスになり、合コンの女王として金持ちな男性との出会いを模索している。一方彼は7年前の失恋の痛手から抜け出せない元数学者の魚屋店主である。7年前の失恋の相手が松島菜々子に似ているという設定でもある。二人は合コンで出会うが彼は身分を医者と偽っている。

 次回予告によると早速この嘘がばれてしまう。ドラマ作りのセオリーとして当初設けられた秘密は途中の伏線ともあいまって、後半の展開において重要なキーとなるはずである。にもかかわらず、この嘘はあっけなく第2回放送でばれてしまう。このあとどのような趣向で楽しませてくれるのか、分からなくなってしまった。とりあえず、来週も見てみよう。