第4話 ■割り勘の話

 さて、そろそろこの場もお開き。「おあいそ」。店から示された金額を手に人数をあたりだす。ここでそれぞれがいくら負担するのかは幹事の采配如何である。女性はあまり食べないから、あまり飲まないから、ということになるが、「僕のお刺し身、食ったの誰?(注:大好きな刺し身を取られて怒っているわけではない)」、「僕のビールは乾杯のときのままだよ(注:ビールをよそに他の酒を飲んでいるわけでもない)」。こんな具合に私は必ず割り勘負けしてしまう。また露骨に、もらっている給料に比例して負担というわけにもいかないことがある。そこで、私の「女性はなぜ割り勘が安くて良いか?」の答は「衣装代や化粧品代にお金をかけているから」である。必要経費の控除というわけだ。

 ところが、合コンで均等割りを主張する輩がいるらしい。私はそう思うような場面に遭遇したことがないので、その心境がよく分からないが、電卓まで取り出して1円単位まで均等割りするつわものまでいるらしい。

 高校を卒業した翌年、高校のときのクラス会を開くことになった。ところがどういうわけか集まったのは男5人だけ。仕方なく、そのまま居酒屋へ足を運んだ。場所の予約もない、いい加減さである。それでも「仮面舞踏会」が流れる中、卒業後の話を色々として、とうとうお開き(二次会はなかった)。店員が告げる金額に対し、仲間の一人が即座に割り勘の金額を即答した。彼の説明はこうだ。「5で割るということは、2倍して、1桁はらえば良い(10で割るのと同じ)」。当時彼は地元の私と同じ大学で教育学部の学生だった。今では小学生相手に割り勘の計算法をまさか教えていないだろうな。