第461話 ■ベイブレード

 子供達の間で、かつてのベーゴマを原型としたコマ遊びが現在流行っている。「ベイブレード」というものだ。例によって、子供向けのマンガ雑誌で連載がスタートし、その後アイテムを商品化、そしてアニメスタートという、玩具市場の典型的なスタイルの展開を経ている。同じ様な手法を取ったものとしては、ポケモン、ミニ四駆、メダロット、遊戯王などなど、枚挙にいとまがない。

 私は約一年ほど前に雑誌での連載などの存在は知らずに、かつての郷愁だけでこのおもちゃを買った(実際は長男が占有状態)。郷愁と言いながらもベーゴマにことのほか思い入れがあったわけではない。むしろ私が生まれ育った場所にはベーゴマの文化はなく、デパートの催事場で買ってはみたものの、なかなかうまく回せないし、そもそも周りが持っていなかったために、すぐに飽きてしまった。しかし、ベイブレードは、従来のベーゴマのルールを残しながら、コマ自体は今風にアレンジされ、非常に回しやすくなっているし、プラスティックをベースにパーツ交換ができるといった、子供を煽る仕様もある。子供と遊ぶにはちょうど良いおもちゃとして私には見えたのである。

 ベイブレードの品切れが現在続いている。今年になってアニメの放送が始まってから、子供達が盛んに買い集め、あっと言う間に市場からものが消えてしまった。ほとんどの店で次の入荷がいつになるのか分からない状態らしい。ここに来て長男は得意満面である。かつては少数派で友達には見向きもされなかったおもちゃであったが、根気よくこの一年間買い集めたお陰で、今ではおそらく学校一番のブレード所有者のはずである。おまけに私もこの先見の目に対して尊敬されている。

 ある雑誌で実際に株を売買して、収支の状況を報告するコーナーがあった。それでベイブレード効果によるタカラの「買い」を指摘していた。確かにこの間のタカラの株価は大きく上がって、今年になっては倍の値段を付けている。約一年前にこのおもちゃを買ってブームを予見できたのなら、どうしてそのときにタカラ株を買っておかなかったかが悔やまれる。金儲けの種は子供向けのマンガ雑誌に眠っているということを今回発見した。次を狙おう。(実はタカラの株の高騰はベイブレードよりも「e-kara」によるものが大きいらしい)

(秀)