第544話 ■大人の七夕

 今宵7月7日は七夕。1年に1度、彦星と織り姫が天の川でデートをするというロマンティックな夜である。「笹の葉さらさら」。ところで、他人のデートにかこつけて、笹竹に短冊の飾りものをして、なおかつ願い事までかなえてもらおうという儀式はいったい何に由来しているのだろうか?

 一般生活に例えれば、年に1度、長距離恋愛の恋人同士が会える日である。単身赴任の旦那が1年ぶりに家に帰ってくる夜である。また、この夜を境にまた二人は1年間会えなくなるといった条件が加味されている。こんな夜に大人の男と女がやることと言ったら、アレしかないだろう。それだから、「字がうまくなりますように」とか、「お金持ちになりたい」なんて願い事を聞いている余裕が彼らにあるわけない。

 それから1年度の再会時に、彼女が生まれて間もない赤ん坊を抱いていた。「あなたの子よ」。今宵あなたにはどんな夜かな?。

(秀)