第884話 ■週刊金曜日

 「週刊金曜日」なる雑誌が、北朝鮮にいる曽我ひとみさんの家族に対してインタビューを行い、その記事を雑誌に掲載したことが昨晩から報道されている。「週刊金曜日」とは耳慣れない雑誌である。書店などでは販売されず、定期購読スタイルで出版をしている雑誌だ。よって、テレビでいくら報道されようとも、本屋で立ち読むするようにはいかない。多くの人はその記事を目にすることはないはずだ。

 それにしても全くひどい雑誌だ。出版・報道の自由、表現の自由を盾に曽我さんやその家族の感情をかき乱し、冒涜している(ようだ)。驚いたことにこの雑誌の編集委員に筑紫哲也や、佐高信、椎名誠などが名を連ねている。連帯責任だ。もう彼らの本やテレビなど見たくない。こちらからおさらばだ。曽我さんの家族は北朝鮮の広告塔として利用された。単独インタビューに目がくらみ、この雑誌も広告塔として利用され、踏み台にされているのに、その自覚がないようだ。もちろん、単なる曽我さんだけの問題ではない。帰国した他の拉致被害者をも少なからず苦しめている。

 ただ「週刊金曜日」が悪いのは当然としても、マスコミの取り上げ方もとても気になる。週刊文春や週刊朝日がこの曽我さんの家族のインタビューを取り上げたのならまだしも、相手は定期購読雑誌である。ほとんどの人はその記事を目にすることはない。にもかかわらず、雑誌に掲載された曽我さんの家族の写真をテレビで流したり、新聞に転載したりしている。また、記事の一部を転載、紹介したりしている。そんなことまでしてしまうと、広告塔としては同じ穴のムジナである。売名行為にまんまと乗せられ、ごく一部の人しか目にしないであろう記事をわざわざ広めてしまっているのだ。

 マスコミは今回の記事を知ったところで、一切報道などせず、各社申し合わせの上、全体で無視、黙殺するのが最も懸命な策だったと思う。何もそこまで我々も知ろうとは思っていない。報道の自由、言論の自由。それは認めるが、人を傷付ける自由はない。知る権利??、視聴者のせいにして自分たちを正当化するのはやめていただきたい。

 わざわざ「週刊金曜日」はそのインタビュー記事の載った雑誌を曽我さんのところまで持参したらしい。あんな記事(見てはいないけど)を載せるぐらいだから、真っ当な神経などあるはずない。曽我さんへの配慮など一切なく、記事を載せ、そしてそれを当事者に手渡すために持参までもした。その雑誌が曽我さんの手に渡る前に、曽我さんがその雑誌を読む前に、彼女の周りの人々の手でそれを防ぐことができなかったものか悔やまれる。その上でマスコミも無視、黙殺するべきだったと思ったわけだ。

※11月16日 加筆修正。

(秀)