第92話 ■VIDAL SASOON
- 1999.08.27
- コラム
久しぶりに会った女性がバッサリと長い髪を切っていた。思わず、「髪、切ったんですね」と口から出てしまった。しかし、そこで言葉が途切れた。別に理由を聞くつもりなど毛頭ない(あらためて「毛頭ない」という字面を見ると、=「ハゲ」みたいで面白い)が、誉めて良いものか(別にへんな頭で誉められないということではない)分からずに、挨拶は終わってしまった。下手に身なりを話題にしたり、髪型を変えた理由を聞くのはセクハラにもなりかねないからである。いつもより髪をかき上げる動作が多いような気がするが、それがまだ髪を切ってから余り時間が経っていない、まだなんか慣れない感じの証拠のように思えた。
VIDAL SASOON(風呂場でスペルを覚えた)というのは、シャンプーやヘアースプレイのブランドであるが、そもそもは人の名前らしい。何故こんなことまで知っているかというと、それは通勤途中のラジオで知った。原宿にある、それはそれは今話題の「AC’QUA(アクア)」というヘアーサロンのカリスマ美容師野沢氏が今週ゲストで出ていて、この話題が出た。今世間にある女性の髪型のほとんどがこのVIDAL SASOONが作ったと言っても過言でないと言っていた。ボブだろうが、レイアーだろうが、・・・他は知らない。
「ヘアーサロン」というとそれだけで私には敷居が高い。料金も1万円、中には2万円というところもあるらしい。「AC’QUA」の例では1ヶ月分の予約がわずか30分で埋まってしまうらしい。いかにも高そうなサロンの前を通ることがあるが、カウンターに受付だけのスタッフが居たりする。私が高そうかどうかを判断する基準は受付のスタッフがいるかどうかである。余分な人件費まで掛かっているから、「きっと、ここは高いんだ」と思えてしまう。そんな床屋見たことない。
私はこれまで2回だけ美容院で髪を切ってもらったことがある。ただ、そこは短く切ることに躊躇して期待したスタイルと違った仕上がりとなった。顔剃りも欲しいし、それとシャンプーのやり方にも違和感を感じた。例の後ろ向きは勘弁願いたい。シャンプーのためのカバーを付けて、「どうぞ、こちらへ」。シャンプー専用の席まで連れて行かれるわけであるが、鏡に映った歩く姿が「てるてる坊主」みたいなのに気がつき、それ以来、美容院へは行かなくなった。
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