第992話 ■横浜銀蠅
- 2003.04.25
- コラム
私の記憶が確かだったら、横浜銀蠅が世間一般に知れ渡るようになったのは昭和55年のことだったと思う。私はそのとき中学2年生だった。どうしてその姿が格好良いのか私には理解できなかった。そして単調なコード進行で進む楽曲にも魅力を感じなかったし、そもそも歌詞がコミックソングだ。「ツッパリハイスクールロックンロール」。
それなのに世間的には結構受けた。特にツッパリの層に共鳴感を与えたようだ。頭悪いくせに、わざと画数が多くて複雑、しかも忌み嫌うような漢字を用いて言葉を書き記すことも流行った。「夜露死苦」、「愛羅武勇」など。「かっとび」や「ロックンロール」という当て字もあったようだが、そこまでは記憶していない。
そう言えば、銀蠅ファミリーなるものも登場した。嶋大輔に弟分の「紅麗威甦(グリース)」、それに全然キャラが違う妹分の岩井小百合。そして今となってはその名前すら思い出せないが、ソロの女性でツッパリスタイル(レディース)の歌手もいた。これは記憶していない人の方がきっと多いと思うほど売れなかった。
さて、本家銀蠅である。翔、三度目の覚醒剤による逮捕。一回目は不起訴、二回目は実刑。そして三度目である。不良を標榜しながら実は兄貴分として、ファンに説教などをたれていたが、結局のところ、やっぱりあいつは半端もんでしかなかった。最初覚醒剤で挙げられたときから、世間は「やっぱりねー」という反応をしてきた。そして三度目。報道の度に、存在が再確認されるが、不良のカリスマはやはり不良だった、という駄目押しに懐かしさ以上の哀れみを感じる。
(秀)
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