第2084話 ■ため息と本当に聞きたかったこと

<少々時間が経ってしまった話題だけど、せっかく書いたので公開>

 木下富美子被告(元東京都議会議員)がようやく記者会見を開いて、先日辞職した。その辞職会見の全部をYouTubeで見た。多くのワイドショー的番組やネットニュースで叩かれているように、到底謝罪会見と言えるものではなかった。

 彼女は涙を見せなかった。これには驚いた。流石に辞職を拒み続けた鋼のマインドの持ち主だ。冒頭の部分など、相当に練習したんだろう。そして「仕事をさせて貰えない理不尽」なる言葉が飛び出した。「推定無罪は憲法で保障されている」「議員辞職勧告決議は法的拘束力を持たない」。そして時折、大きくため息のような息を吐いた。

 このため息にも大きな反発がその後出たわけだが、これは会見を舐めているからのものではなく、質疑を個々やり終えた際の深呼吸だと思う。無意識にでも起きる。会見中、盛んに手指を書類の上で動かしていた。緊張により出た動作だと思う。その区切としての深呼吸だったはず。緊張の一方で、言いたいことを言って、まあ何とかやり過ごしたことで、脳内には快楽物質が分泌されていたのではなかろうか?。

 一方で質問をする側がぬるかった感じが否めない。理不尽さや法的拘束力の有無を取り出して来るのなら、その正当性を否定する様な質問をぶつければ良かった。「無免許運転での事故が選挙投票日前に明らかになっていても、あなたは当選していたと思いますか?」「(たとえ事故がなかったとしても、)今回起訴された無免許運転の常習を有権者が投票日前に知っていても、当選していたと思っているんですか?」。この返事を私は聞いてみたかった。答如何では形勢は大きく変化し、ぐうの音も出ないし、隠蔽の疑惑が注目されたはずだったのに。

(秀)