かつてそんな名前の推理小説があった(けどそちらの正式タイトルは「そして誰もいなくなった」で、途中の読点がない。作者はアガサ・クリスティ)。ここで取り上げるのは、現在放送中のドラマのタイトルの方である。主人公の藤原竜也が演じる藤堂新一はIT会社で、ネットで公開している情報を一斉に削除するシステムを開発していた。流失した個人情報等もすぐに削除でき、個々のパソコンのローカルディスクに保存されているデータでも、それが削除の対象として指定されたものであれば、そのパソコンがネットワークに接続されたタイミングで削除される。

 社内でそのシステムのデモが行われる。一旦検索エンジンでそのデータが存在することを確認した後、例のシステムを起動させ、再度検索すると一連のデータは全て消えている、といった具合。普通ならそれで視聴者はフィクションながらも、「そうなんだ」と納得してしまうかも知れない。しかし、もし対象データが消えても、検索結果として参照している表示データはリアルタイムのものではなく、時差のある過去のデータを見ているに過ぎない。「そのインデックスに対しても、データを削除したんだよ」、と言われればそれまでだが、検索エンジンのインデックスデータが恣意的に書き換えられてしまうことへの違和感を感じた。ネット上にあるデータを恣意的に消すことよりも、もはや神と言われる検索エンジンのデータを操れる方がよっぽど金になりそうだ。

 藤堂新一は自身の存在を消されてしまう。自身の個人データが何者かによって消される一方、藤堂新一を名乗る別の男が存在し、しかもその男は犯罪者である。自分の存在を消されたため、会社を追い出され、何者かに追われるようになった。なりすましで、自分を語る人物の正体を掴んだものの、それがわかった直後にその情報が何者かによって、自分が開発したシステムによって消されてしまった。証拠は消滅した。

 ドラマには怪しい人物がいろいろと出てくる。大学時代の旧友たち(玉山鉄二、ミムラ、今野浩喜)だったり、なりすましていた犯罪者の弁護士(鶴見辰吾)、通っていた店のバーテンダー(伊野尾慧)、などなど。上司(ヒロミ)は味方の様に見えるが、一枚かんでいそうな気がする。ネットから情報が消えることが自分の存在を消されることになるという設定と何者が犯人なのか、というところがとりあえずこのドラマの見どころ。

(秀)