おなじみ、「トムとジェリー」の話である。私は子供の頃、ローカル放送で見ていたので、本放送がいつ頃のことかは分からない。月曜から金曜までの夕方六時から、3本立ての30分の放送であった。三本のうち、最初と最後が「トムとジェリー」で、真ん中はドルーピーや狼、黒い猫が出て来る話であった。

 このアニメの面白さはストレート過ぎるギャグに尽きる。これから起きるオチが想像通りだし、同じようなオチが何度も何度も繰り返される。それでいて何度見ても面白い。壁にぶつかったらペラペラになるし、木を切り倒すとその木は必ず逃げた方に倒れて来る。吹き替えでも十分話は理解出来ていたが、今になって改めて見てみると英語が読めて、面白さも増して来る。例えば、トムがネズミ嫌いの主人のためにジェリーを追い出したご褒美にキャビアをもらって食べるシーンを発見した。子供の頃はビンに「CAVIAR」と書かれているのに、気付くはずもない。仮に「キャビア」と日本語で書かれていたにしてもそれが何なのか、理解出来なかったはずだ。また、ジェリーが金持ちの家に棲みついていた時のベッドはティファニーの宝石箱だった。子供には分かる笑いではない。それにあんな穴あきのチーズなんか見たことがなかった。

 トムとジェリーはいつもいつも、ケンカしているというのがパターンであるが、たまには仲の良い時もある。「天国と地獄」という回は、死んだトムが生前ジェリーをいじめていたので、ジェリーのサインをもらって来ないと天国にいけないという話であった。ケーキを差し入れたり、あれころとジェリーに気に入られようとするが、結局はタイムリミットに間に合わず、地獄に落ちてしまい苦しんでいるところで、トムは夢から醒める。死んだのも地獄に行ったのも全て夢であった。そうと分かるとトムはいつもの態度を反省し、ジェリーと仲良くするというところでその話は終わる。