第1003話 ■虫歯の日

 虫歯の日だ。土用丑の日のうなぎ屋の如く、歯医者がこの日、書き入れ時というわけではなかろうが、とりあえず、業界的には特別な日のように傍からは思える。たまたま今年は水曜日だ。世間的には水曜日休業の歯医者も多いことだろうが、この日ばかりは休日を返上して客の、もとい、患者の来訪を待っているのだろうか?。まあ、私にはどうでも良いことだが。

 そもそも虫歯は季節や時期に関係あるものだろうか?。単なる語呂合わせなのだからそんなはずはあるまい。ついでに語呂合わせとして、電話番号に「6480(ムシバゼロ)」なんてのを取って、私鉄の小さな駅に看板広告を出している歯科医なんてのもある。「1182」に「イイハニッコリ」というのはちょっと無理があるなあ。ちょっと話がそれてしまうが、「ハトヤホテル」は電話番号のみならず、送迎バスのナンバーまで「4126(ヨイフロ)」だ。

 子供の頃は確かに虫歯は一大事である。あの悪魔のような姿にデフォルメされた虫歯に悩まされた。歯医者が好きな子供はいない。その歯医者と虫歯くん(仮称)と比べてどっちを選ぶかという究極の選択を迫られる。口の中で槍を持ってチクチクトやる虫歯くん。一方、キュイーンと歯を削る歯科医。かたや治療行為であるのは間違いないが、子供にとっては五十歩百歩だね。

(秀)