第106話 ■焼売
- 1999.09.17
- コラム
「代替物」という言葉がある。本来のものが手に入らない時などに、ほぼ同じ効果や機能を持つもので代用しようというものである。ただ不思議なことに「代替物」の反対語は存在しない。
まぎれもなく、シュウマイは餃子の代替物である。材料はほとんど同じでありながら、餃子ほどはメジャーでない。ああ、哀しいことよ。まず、餃子ほどメニューとして置いている店が少ない。かと言って稀少価値があって珍しいというものでもない。ラーメン&餃子、チャーハン&餃子という組み合わせはあるが、シュウマイとの組み合わせの例はない。スーパーの惣菜売り場で焼き餃子は売られていても、蒸しシュウマイが売られているのを見たことはない。彼らは崎陽軒の弁当売場でだけの主役でしかない。宮廷餃子という言葉があるところからすると、餃子はかつて皇帝も食したことがあるのだろう。シュウマイについては良く分からないが。宇都宮は日本一の餃子消費都市だそうで、餃子の像なるものまであるらしい。
ただシュウマイにチャンスがないわけではない。僕等の時代に昆虫の王様と言えば、それは間違いなくカブトムシで、次いではノコギリクワガタと相場が決まっていた。ところが最近はどうだろうか。最近の王様はカブトムシよりむしろクワガタで、その中でもオオクワガタは中には数百万円で取引され、黒いダイヤと称されるほどの高騰ぶりである。数が少ないからその様な逆転現象が起きたのであろう。おまけにクワガタは越冬し、三年ぐらい生きるものらしい。今後シュウマイがメジャーになるには飲茶・点心ブームの到来を期待したいところである。
と、ここ書いてきて何なんだが、私は餃子派だ。あの焼き色が魅力的である。ついでを言うとカブトムシ派でもある。すまん。
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