第1089話 ■死語ライブラリーへの登竜門

 死語ライブラリーへの登竜門「03 新語・流行語大賞」が発表された。私が予想した通り、と言うか、大方の人が予想した通り、「なんでだろう~」が今年の流行語大賞を受賞した。彼らが「受賞できたの『なんでだろう~』」と言いやがったかどうかは知らない。

 その他には「毒まんじゅう」と「マニフェスト」が大賞を受賞したそうだが、「マニュフェスト」は許そう。「毒まんじゅう」という言葉が流行ったか?。かつて、日本レコード大賞は大方の予想通りの楽曲が受賞し、いつも納得のいく落ち着いた雰囲気の中で年越しを迎えることが出来た。布施明も沢田研二も寺尾聰も、ピンクレディーくらいまで。

 ところがあるタイミングから多くの人々が納得できないような受賞劇が引き起こされるようになった。光GENJIに近藤真彦、BBクィーンズ。途端に視聴率は低迷し、賞の権威は大いに失墜してしまった。この視聴率の低下や権威の失墜は単に放送局の問題では済まされず、これまでの受賞者を冒涜したことにもなりかねない。

 そこで「毒まんじゅう」である。こんな流行ってもいない言葉に大賞を与える主催者側や審査員のセンスを疑う。しかも大賞三語の筆頭として取り上げられている。冒頭で「死語ライブラリーへの登竜門」と揶揄した通り、この賞で取り上げられた言葉は早ければ翌年にも死語の仲間入りである。こんな皮肉な賞をもらって喜んでいるのは文字通り、おめでたい人々たちだ。ただここで、死語にもならないであろう「毒まんじゅう」が飛び出した。

 人々の意識から遊離してしまうと、こんな賞なんか世間から見向きもされなくなるだろう。まさにそれが「毒まんじょう」。「流行語大賞」というネーミングが実際の賞のバリューを過大に表現してしまっている。これは「レコード大賞」というネーミングも一緒。こうやって私は今年もこの話題に触れてしまったが、世間一般ではそれほどニュースバリューがある話題では恐らくないらしい。だから、死語になるのも早いのかな?。

(秀)