第1248話 ■三丁目の夕日
映画「ALWAYS 三丁目の夕日」を(公開初日に)見た。この映画はすごい。何が?って、CGの合成技術がである。走っている都電、SL、上野駅、町の背景。日本映画もこの水準までに来たか、と感心してしまう。出演者のギャラよりもセットの製作費やCG処理に要した金額の方が高いのではないかと思う。
舞台は昭和33年の東京タワー近くの夕日町三丁目という架空の町になっている。原作の漫画ではどうだか分からないが、この映画では東京タワーのすぐそばということで、港区愛宕というロケーションになっている。町並みは非常にリアルで、一瞬映るかどうか、あるいは映るはずもないところまでにもこだわってその時代の風景を再現したことが映画のメイキングで紹介されていた。理髪店内の壁には最新のヘアスタイルというポスターが貼られていたし、荒物屋には粉末のシャンプーや殺虫剤の噴霧器が並んでいるのだが、それはメイキングで語られているから分かるわけで、映画の中ではそこまでは分からない。けどそこまでこだわっている。
昭和33年というのは終戦からしばらく時が経ち、高度経済成長前夜といったところか。貧しかったけど夢があった時期で、その象徴が建設途中の東京タワーとして表現されている。東京タワーはこの年の12月23日に完成している。ちなみにスバル360が発売され、長島茂雄が巨人軍に入団したものこの年のことだ。子供の遊びとしてはフラフープが流行している。それに、映画の中にはミゼットに白黒テレビに冷蔵庫が時代を代表するアイテムとして登場している。未体験だけど懐かしさがある。それはそれらが約10年残って、物心ついたころにも身の回りに残っていたからだろう。
この映画は日本アカデミー賞をはじめ、映画賞で大いに評価されると思う。私はこの原作漫画が大好きでコンビニの廉価本は全て持っている。
(秀)
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