第1247話 ■あれから10年

 うっかりしていたら、あれから10年の日が過ぎてしまっていた。1995年11月23日。Windows95の発売日である。発売日の前日となる22日は大阪への出張があり、東京に戻ってきて、家には帰らずそのまま、夜の秋葉原に繰り出した。23時半過ぎに到着したかと思うが、辺りは既にお祭り騒ぎの形相であった。発売日の0時からの発売を行うため、それぞれの店の前には行列も出来ていたし、店員も大いに客を呼び込み、秋葉原の夜がこれほどの騒ぎとなったことは前にも後にもこの日を以って他はなかったはず。人ごみの具合といい、ちょっとした初詣の感じだった。

 マイクロソフトの宣伝は言うにおよばず、それ以上にパソコンメーカー各社がこれに合わせてWindows95搭載のパソコンを販売するとあって、これらがコンパニオンなどを繰り出し、華やかさに色を添えていた。そんな中私は、ラオックスコンピュータ館の列にまぎれ、12時のカウントダウンとともに店内に流れ込んだ。1階のフロアは当時書籍のフロアだったと思うが、そこに臨時にWindows95のパッケージが大量に平積みされていた。そして、ここでの私の姿の某パソコン雑誌の口絵に写真として小さく載った。このときはCD-ROM版の他にFD版というのもかなり多かったし、そもそもがNEC用とDOS/V用とにパッケージが分かれていた。

 Windows95は非常に画期的なOSだった。それまでのWindowsのバージョンのものと比べて飛躍的に使いやすくなっていたし、各種設定が非常に簡単になっていた。特にネットワークの設定は特筆に値する。それまではTCP/IPのドライバは別に買わなければいけなかったし、設定も非常に面倒くさかった。そもそも用語も分からなかったし。Windows95がなかったらインターネットの普及は大きく遅れていたに違いない。パソコンの歴史を考えた場合は私はこのWindows95の前後で大きく変化したと見ている。まさにエポックメイキングなOSと言っても過言ではない。感謝。感謝。10年なんてあっと言う間だった。

(秀)