第1324話 ■チープなお好み焼き

 たまり場と言う訳ではないが、家から徒歩2分ほどのところにあった駄菓子屋、「こども店」には当時毎日のように通っていた。この店が他の駄菓子屋と大きく違の点は、おばさんがたこ焼きやお好み焼きなどを作って販売していた点である。これに季節のよっては、おでんやかき氷が加わる。私がアメリカンドッグを初めて食したのはこの店のものだった。

 給食のない、土日の昼や小腹の空いた夕方などに、たこ焼きやお好み焼きは結構ありがたかった。しかし、このたこ焼きにはタコは入っておらず、団子のように串に3玉刺さって1本10円(後に20円→30円と値上げされる)で売られていた。

 さて、ここでお好み焼きの話をしよう。お好み焼きは注文を受けてからおばさんが焼いてくれる。ネタによる種類などなく、金額によって別れている。50円、100円、150円、200円。100円から上は玉子が入り、150円から上は魚肉ソーセージが入り、ソースがケチャップとマヨネーズを混ぜたオーロラソースへとなる。

 私はよくこの中で100円のものをもっとも多く食した。そしてたまに今でも、もう一度食べたいな、と思い立ち、たまに自分で真似して焼いてみたりする。わが家ではこれを「チープなお好み焼き」と呼んでいる。

 以下、作り方。メリケン粉を水でゆるめに溶く。それに化学調味料を軽く振る。鉄板にこのきじを載せ、焼く。ここで細かくした鰹節を振る。具として、千切りのキャベツを軽く一掴み、きじに載せ、さらに上からきじをかける。頃合いをみて引っ繰り返し、小手で押さえ付ける。ここがミソ。玉子を入れる場合は、焼き上がった上に割り、軽く白身と黄身が混ざる感じに玉子を壊し、そこから引っ繰り返し、さらに焼く。

 仕上げのソースがなかなかうまく再現できない。おばさんは一升瓶に入った業務用のソースをそのまま使用していた。しかも、たこ焼きでもお好み焼きでも同じものを使用していた。結構さらさらしたものだった。うちではこれをお好み焼きソースとウスターソースをブレンドすることで代用している。

(秀)