第1420話 ■古紙偽装の影響

 耐震強度偽装に始まり、食品偽装と続き、偽装話は止まるところを知らない。今度は年賀はがきを発端に、再生紙における古紙含有比率の偽装が明らかになった。何故この時期なのか?。実はもっと以前に分かっていたんではなかろうか?。年賀状への影響を考えて、その時期を避けたのではないか、と勘繰ってしまう。その後、古紙含有率の偽装は年賀はがきにとどまらず、オフィスで使用するような一般的な再生紙でも明らかになった。しかも製紙業界全体の話のようだ。

 古紙を含んだ再生紙が品質的に優れているわけではない、また価格の面でも生産工程の手間から再生紙の方が高い。それでも市場で再生紙にこだわるのはエコへの配慮で、見掛けのエクスキューズのようにも思える。本当にエコを言うなら、そもそも紙の消費を削減していくべきだろう。コンピュータが普及することで紙の消費は減少すると思われたが、実際は逆で紙の消費は増えてしまっている。

 さて、古紙含有率の偽装の件で、大手製紙会社は相次いで再生紙の生産や出荷の中止を決めた。また流通においても販売中止が相次いだ。既に客先に納品されている在庫がどれほどあるのかは予想できないが、早々に在庫切れが予想される。私が知る、ある印刷業者は再生紙の在庫が2日分しかなく、これからどうするかの対応に追われていた。

 生産と販売が中止になったということは、一時的かも知れないが、間もなく世の中から再生紙が消えることになるだろう。製紙会社へのバッシングもあって、製紙会社が再生紙の生産をやめた分を、非再生紙の生産にそのまま振り替えるとは思えない。しばらくは全体の生産量を抑えざるをえないだろう。結果、世の中に流通する用紙の総量が減ることになる。再生紙、非再生紙なんて言ってられずに、用紙の確保を優先しなければならなくなるかもしれない。値段の上昇も予想される。全くもって困った話だ。

(秀)