第1471話 ■雑学王??

 まずは落語の話から。在原業平朝臣の詠んだ歌で、百人一首に入っている「千早振る~」の歌の意味を知りたくてハチ公がご隠居のところを訪ねてくる。ハチ公は娘にこの歌の意味を聞かれたが答えられなくて、親の沽券に関わるとやってきた。ご隠居は町内での有名なものしりとして知られていた。

 ところがこのご隠居、この歌の意味を知らない。かと言って立場上、「知らない」とは言えない。仕方がないので即興で解釈を始めるのだが、それが全くのでたらめで、そのでたらめ振りがこの落語の面白さとなっている。ここでは説明しないので、ネットで検索するなどで確認されたし。検索ワードは「千早振る 落語」。

 さて、テレビ番組がここのところ改変期とあって、特別番組を放送していることが多い。さっきまで「クイズ雑学王」を見ていたが、これも特別番組のはず。ところで、ものしりだとか博学、雑学王と呼ばれるのは、正しい情報を知ってるだけでなく、それが正しいことの裏づけまで知っていることが前提だと思う。

 ところがこの雑学王の番組、文字通りクイズ形式であるが、答が明らかに分かっている場合はもちろんだが、答が分かっていなくても、その場で考えて正解を導き出せれば得点になる。極端な話、択一問題で、たまたまでも答が合えば良いのだ。でもこれって、おかしくないか?。雑学王と呼ぶには無理があるだろう。ものしりって、そんなものではなかろう。偶然の正解ではなく、明らかに事前に知っていた知識としての正解でないといけないと思う。ものしりが偶然であってはいけない。

 ご隠居同様、真のものしりって結構少ないのかもしれない。

(秀)