第1611話 ■派遣会社の責任も重大
本当にもう最近は気持ちの良い話がなく、周りでもテレビでもパソコンでも、不景気な話ばかりである。それを象徴するかのように、「非正規労働者」なる聞き慣れない言葉がマスコミで溢れ、企業でのこの非正規労働者のリストラをめぐっての報道がなされている。その映像はそれなりにインパクトがある。
しかし、あのような映像を流して、マスコミはいったい何を世に知らしめたいのだろうか?。あの映像とは、派遣労働者が企業から「契約」を解除されて職を失い、「解雇」の撤廃を求めて会社に食い下がっている映像だ。職を失った派遣労働者が会社を相手に「団体交渉」を行ったというものだ。
わざわざカギ括弧を付けて書いたところは、実は正しくなく、誤解している人が多いと思われるところだ。まず、派遣労働者を雇用しているのは派遣会社であって、派遣労働者と派遣先の会社が契約を結んでいるわけではない。だから、派遣先と派遣労働者間には雇用契約がないので、解雇なんてことはありえない。契約を打ち切ると言うのは、派遣先と派遣会社間の契約のことを指している。ついでに言うと、派遣労働者と派遣先は雇用関係がない間であるから、団体交渉も存在しない。それは単に、文句を言いに行っただけのことだ。契約社員と派遣社員というのはこれら点が大きく異なる。
派遣労働者が雇われているのは派遣会社であって、派遣労働者が文句を言いたければ、派遣会社に言うべきであって、組合を作って交渉するなら、その相手は派遣会社になる。派遣会社は派遣先の会社からそれなりの派遣費用を受け取っていて、その内からいくらかをピンはねをして、残りを労働者に支払っている。ピンはねだけしておきながら、雇用を守りきれないとしたら、それはまず派遣会社の責任である。
マスコミは何故、派遣会社に矛先を向けないのだろうか?。まさか私が指摘しているようなことを知らないわけでもなかろう。ただインパクトのある映像を流すがために添えられた説明とするならば、それこそ私に言わせれば偽装報道である。派遣労働者を食い物にしていたのは、大企業のみならず、直接的には派遣会社であったと私は断言したい。
(秀)
-
前の記事
第1610話 ■喫煙者のテリトリー 2008.12.16
-
次の記事
第1612話 ■年末年始の記録メディア 2008.12.22