第1631話 ■自社製品を買おう、って

 急速な不景気で、新聞等では大企業が赤字になったとの報道が日々なされているが、何となく慣れてしまった感があって、自分と直接利害関係がない会社であれば、その規模が例え数千億円と言われても、「そうなんだ」ぐらいにか反応しなくなってしまった。

 そんな中、いくつかの企業では自社製品を買って、何とか売上に貢献しようという動きがある。トヨタ自動車は自発的に部長級以上が車を買うことにしたらしい。しかし、そうそう車を買っても置いておく所がないとなると、買い替えのタイミングを多少早めるだけで、これまでも自社製品を買っていたのだろうから、どのくらいの貢献になるかは疑問だ。ただ、こういうときこそ、自発的に結束していく動きは評価して良かろう。

 あるラジオ番組で「(こんな時期だから)自社製品を買いますか?」というアンケートをやっていた。私は多くの人が当然のごとく「買う」と答えるものだと思っていたが、実際には「買う」と「買わない」、「分からない」がそれぞれほぼ同じ割合だった。私にとって、この結果は意外だった。わざわざ競合の他社製品を買うくらいなら、自社製品を買おうと思うのが、自然だと思っていた。

 しかし、業種にとっては自社製品を買おうにも大変なものもある。住宅メーカーなら、そうそう幾つも買ったり、買い直したりできるものではない。土地もいる。もっと規模が大きくなって、ビルやダムを作っているような建設業者の場合は手の出しようもない。道路や土木工事も然り。電機メーカーも家電品があるからまだ良いものの、発電施設などは買えない。しかし、例えば電機メーカーに勤めているような人はほとんどの家電品を既に持っているのではなかろうか?。

 他にも色々と具合の悪い商品が結構ありそうだ。逆に小さく、安過ぎるものも、貢献度が小さくて効果がない。食料品や消耗品などは消費する量ぐらいしか買えないから。私はもちろん、自社製品をけっこう買っている。主たる商品は企業向けの機器であるが、民生用の消費財もあって良かったと、胸を撫で下ろす。

(秀)