第1632話 ■百年に一度
まさに百年に一度の不況の真っ只中のようで、大変ではあるが、そんな時代を生きていくのは、経済学を学んだ者としては貴重な体験だと思う。できることなら、独自の視点で何らか後に史料となるような文章でも書き残しておきたいくらいだ。
さて、この百年に一度という不況の表現だが、そもそもはアメリカの連邦準備制度理事会(=FRB)のグリーンスパン元議長の言葉なのらしい。しかも、正しくは「百年に一度か二度」と言ったのらしい。それを我が邦の総理はなぞっているわけだが、「一度か二度」という迷いを吹っ切ったのか、「百年に一度」と言い放っている。ただ、総理の言い方を聞いていると、「百年に一度だから仕方がない」、「私のせいではない」と言いたげで、どこか他人事のように聞こえて嫌だ。
百年に一度ということで、今回の不況を乗り越えれば、今後百年はこれ以上の不況はないというのか?。果たして今回の不況が百年に一度のものか、二度のものかはしばらく時間をおかないと分からない。来世紀の経済学者に判断してもらうとするか。
ただ、「何年に一度」というのはあまりあてにならない。例えば、十年に一度のスターや逸材というのは、十年を待たずに何年かおきに登場する。十年に一度だったためしがない。今世紀中に再度同規模の不況が来ないとも限らないが、まあ、「何年に一度」とは、そんなもんということで、やり過ごすしかないだろう。
(秀)
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