第1643話 ■落語の時代は終わったか?
落語の時代はもう終わってしまったのではないかと思う。昨今、落語ブームなんて言われているが、そんなものは幻想で、かつての時代を彷彿させる程の規模ではない。そもそも、今はヒーローが存在していない。確かに独演会などのチケットを即時に売り切ってしまう噺家が存在するのは事実である。
しかし、名人上手となるといずれも既に亡くなってしまっている人ばかりとなってしまう。それは亡くなったからありがたいのではなく、彼らは存命中からも名人上手と呼ばれた。一部の名跡は今でも引き継がれてはいるが、その存在感や実力の面で遠く先代に及んでいない。
志ん生(5代目)、志ん朝(3代目)、馬生(10代目)、小さん(5代目)、文楽(8代目)、圓生(6代目)、三木助(3代目)、などなど。彼らほどの大看板が今はいない。いずれも過去の音源をして聞くしかない。それでも魅力十分である。そして、名人上手とはいかなくても、談志、圓鏡(現:圓蔵)、三平などという人気噺家がかつていた。そもそもの勢いが違う。
私が実際に寄席で見る噺家のほとんどは真打を目標にがんばっている二ツ目である。それは費用の面での理由もあるが、もう一方で平成の名人上手と言われる噺家の若い時を見ておきたいという考えもある。確かに琴線に触れる若手の噺家は数名いるが、今後どれほど成長するかはまだまだ未知数。栴檀は双葉より芳し、か?。
(秀)
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