第1680話 ■プリウス試乗記

 正式な発表前にも関わらず、205万円からという価格が先行発表されてからというもの、予約が殺到し、発売開始前に8万台という予約数を達成した3代目プリウス。確か13万台という受注の数字までは聞いたような気がする。まさに恐るべき数字だ。業界誌や車好きの範囲に留まらず、プリウスは広く社会に認知され、まさにプリウス現象とでも言うべき、社会現象にまでなる勢いだ。

 早速私も発表直後に販売店に足を運んでみたが、発表後の最初の週末とあって、店は大変混んでいた。みんなプリウスを見に来ている。この日は試乗どころか、顔馴染みのセールスマンは接客中とあって、会話も交わせず、展示車両に乗り込んでみて、カタログをもらって帰るしかなかった。そして再びこの販売店を訪れたのは2週間後。ようやく試乗することができた。

 実はプリウスに乗るのは先代を含めて、これで2度目だ。エンジンをスタートさせると、ほぼ無音なのに「もうエンジン、掛かってますよ」と言われ、数年前に2代目プリウスに乗ったときの記憶が甦ってきた。あの時と同じだ。アクセルを軽く踏み込むと、スルスルといった感じでバッテリーの力で車はスタートした。

 走行モードは3つある。まずは通常モード。エンジンをバッテリーがアシストしながら走る。まずはバッテリーでスタートしエンジンに引継ぎ、アクセルを放したり、ブレーキを踏むと、減速しながらそのエネルギーをバッテリーに蓄えていく。続けては、EVモード。エンジンを使用せずにバッテリーだけで走る。ややパワーに欠けた感。ただし、バッテリーの残容量が少なくなると、このモードは自動的にキャンセルされ、通常モードに切り替わる。そして最後はパワフルモード。高速での走行や加速時を想定したモードである。通常モードの感じでアクセルを踏み込むと、力強く、グンと車体が前に出る感じ。電動アシスト付き自転車でのこぎ出しに似た感覚でもあった。

 ざっとこんな感じの走り感で、あまりスピードは出せなかったが、普通に街乗りする感覚は試すことができた。ただ正直言って、慣れるまでは通常のガソリンエンジンに比べると違和感があると思う。2代目のプリウスからはパワーが上がっているのは実感できたが、走りの感じは3代目も2代目と似ていた。発表前に予約をした人は実車に試乗することはできなかったわけだが、その多くは2代目のユーザだったかもしれない。または2代目プリウスに試乗してみて、「これよりパワーがありますよ」と説明されて決めたのかもしれない。

 売れ筋は真ん中の「S」というグレード(220万円)らしい。そして、今注文しても納車は11月とのこと。見積書を作ってもらったが、値引きはもちろん0円だった。

(秀)