第1803話 ■最近の私的読書事情

 最近、「それ(Androidタブレット端末)と紙(の本)とでは、本を読むにはどっちが良いですか?」と聞かれることがある。とりあげて、電子媒体でのデメリットを挙げるのもなんだし(そんなに気になるデメリットがあるなら、そもそも持って歩いてまでそれで本は読んでいない)、できるだけポジティブなことを伝えるようにしている。

 まずはコンテンツを大量に持って歩けること。従来は最低でも文庫本を2冊は鞄に入れていた。途中で読み終えたり、面白くなかった場合の切り替え用として。このため、その2冊の本はジャンルが異なる形で、例えば、一方が小説なら、もう一方をビジネス系の本といった感じにしていた。途中に本屋に立ち寄って、帰りには3、4冊の本が鞄の中に入っていることもしばしばあった。

 ざっと私のタブレットには100冊前後の本がPDFファイルとして格納されている。過去に1年間で何冊本が読めるかを記録したことがあるが、結構頑張ってみたところで80冊が精一杯だった。時間もそうだが、金が続かなくなった(それでも読んでいない蔵書が山ほどある矛盾)。だから自分では1年間で読みきれない量の本をデータ化して持ち歩いているわけだ。ある意味無駄だが、これによる不具合はない。「次はどれを読もうかな?」と迷うくらいか。それでも文庫本を最低1冊は鞄に入れている。電車内の優先席付近で電子端末を取り出すのが心苦しいときや病院などでの待ち時間用にと。

 読むスピードは、やはり紙の方が早い気がする。実際に計ったわけではないが。時間当たりのページ数は変わらないと思うが、1冊1冊を読み終えるのに要する時間が長い。これは電子端末ゆえに、読みながら思い付いたことを端末でメモしたり、メールの確認など余計なこと考えて、その作業を割り込ませてしまう。誘惑の要素があって、集中度は低い。

 電子媒体で最も困ったことは、ページの頻繁な移動が苦手であること。小説ならば順に読んでいくだけで良いが、それでも前の部分をチェックしてみたり、本によっては目次を見て構成を確認したり、「この本はいつ出たんだっけ?」と、奥付を見たい時など、あるいはそこから元のページに戻るときなど、実に不便だ。

 まあ、こんな感じが私の昨今の読書事情である。

(秀)