第1865話 ■読書スカウターが欲しい
ちょっと気分転換に、本屋に足が向いていたりする。ネット書店ではいけない。実際に手に取って、ペラペラとページを捲る感覚がないといけない。的確な本に出会えるとは限らない。本当に自分がたどり着くべきであろう本がたまたまその本屋にないだけなのか?、それともそんな本は最初からこの世にまだ存在していないのかもしれない。けど、その空間に足を運び込み、一つ大きく深呼吸してみると、私の脳内にはアドレナリンが分泌されているに違いない。
本にはある種、麻薬のような中毒性がある。おもしろい本を読み進んでいるとき、書いてあることを理解し、共感しているとき、そしてその本を読み終えて、何らかを獲得したような気になったとき。しかし、実際は何も変わっていないことが多い。なぜなら、理解するだけで満足して、実践しようとしないから。実践するかしないかは、当事者の判断だから、それは放っておくが、私はそれをアウトプットしていこうと考えている。
読み終わった本などを置き場所に困って、かと言って、捨てるわけにもいかず、「自炊」してデジタル化することが、私には習慣づいているが、スキャナーに紙が吸い込まれていく度に、「ああ、こんな速度で本が読めたらなあ」なんて思う。それなら、1冊を約5分で読めてしまうから。中にはすごい読書家や速読技術を身に付けている人がいて、相当数の本を読むのだろうが、それを魅力的に思える一方で、「本を買う金が続かなさそう」なんて、余計なことを心配してしまう。本当に速読できる人は買わずに立ち読みでいけるんだろうな、なんて変に納得してしまう。目指すならその域か。
最近はリアルな本屋ではなく、ネットで本を買うことが随分と増えた。強力な検索機能を持っていて、本屋に並んでいない本も探し出してくれる。絶版本も探し出せ、場合によってはそれを買うことができる。ただ、ネット本屋にも弱点がある。すぐに手にすることが出来ないことと、ページを捲ることが基本的にできないことだ。もちろんこれらは十分承知の上で利用者は本を買っているわけだが、実際に本屋でその本を手にしてページを捲っていたなら、その後そのまま本棚に戻してしまうような本をネットの書店で買ってしまったことが、私には何度もある。
本屋で本棚を目の前にすると、「これらを全部読めたら良いのに」なんて気分になる。かつておもちゃ屋で、「全部欲しい」と言っていたのとほとんど成長していないようだ。もちろん、そんなに多く読めやしないし、第一買うだけの金がなければ、置き場所にも困ってしまう。せめて、漫画「ドラゴンボール」に出てくる、スカウターのようなメガネを通せば、実際に自分に相応しく、読むべき本が本棚の位置から光って見えれば、時間も金も節約できて有難いのだが。
(秀)
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