第1874話 ■ポケモンGOが廃れる日

 久しぶりに電車に乗って都内へちょっと出掛けてみた。平日なのに、「ポケモンGO」をやっていると思しき人が多いこと。浅草寺の西側はポケストップが結構多かった。浅草寺では実物の鳩に混じって、野生の「ポッポ」が多数生息しているみたいだ。外国人の話によると、東京はポケストップが多く、密度が高いらしい。外回りの営業マンらしい人も歩きスマホで回っている。この時期、用もないのに仕事で外に出たがる人が増えてはいないかな?。

 そこから電車でさらに移動。地下鉄の中ではさすがにやっている人はいないが、山手線に乗り換えたら、電車のドア付近でやっている人が相当いて、乗降客の動線を塞いでしまっている有り様。こんな形で小さな不満が周囲の人々に展開され、あちこちで散発するのも、もはや時間の問題。たまたま目にしていないだけで、人にぶつかったなどのいざこざは既に起きているに違いない。

 ほぼ一斉に始めた人が多いため、当初はそれほどのレベルの差などなく、周囲との会話もまあ噛み合っている。しかし、次第にレベル差が生じ、会話が噛み合わなくなっていくと、得意気に話す輩がちょっと鼻持ちならない。一方で、レベルの向上とともに、ジムを舞台とした戦闘が繰り広げられる。勝てる人、勝てない人。勝てない人は面白く無い。せっかく蓄えた小さな達成感が、自分の中で否定されていく瞬間。

 「裸の王様」のように、あるとき多くの人が気が付き始める。「時間の無駄だったよね」、「果たして何かを得たんだろうか?」って。富が増すわけでなく、むしろ金を使ってしまう。現実な何かを手にすることなく、冷静に考えれば、「何のためにやってるんだろう?」と自問する。トドメは周囲からもたらされる。「お前まだやってるの?!」。周りを見ると、誰も歩きスマホなんてやっていない。みんながやるからやっている人なんか、すぐに止めてしまっている。迷惑を受けた人の反発運動もあるかもしれない。

 選挙の投票所にポケモンを集めれば、若者の投票率が上がる、なんて言っている人がいるが、果たしてどうだろうか?。投票なんか関係なく、また次のポケモンを探して、すぐに動き出すに違いない。それどころか、そんな感じで選挙を待っている間にブームなんか終わってしまうぞ。今年の年末までこのブームは続くだろうか?。私はそうは思わない。やっている人が少数派になった途端に、恥ずかしくなって一気に廃れてしまう気がしている。秋風が吹く頃には...???。もし、「ポケモンGO」が流行語大賞になんか選ばれてしまったら、翌年にはほとんどの人に忘れ去られているに違いない。早くも任天堂の株式はストップ安を記録したようだ。

(秀)