第218話 ■果物の王様
- 2000.03.09
- コラム
バナナが病気の時にしか食べられない、という時代が30年ばかり前にはあった(らしい)。かと言って、イチゴやメロンを普段から食べていたわけでなく、果物自体がありがたい時代だったのである。ところで、皆さんはフルーツでは何が好きだろうか?。私はパイナップルと答える。メロンはきゅうりに砂糖を掛けて食べているような気がして、ありがたみを感じない。スイカも昔は随分、そう、カブトムシの如く食べていた記憶があるが、今はそんなことはない。
パイナップルは果物の王様である。理由は、「頭に王冠を載せているから」。そんなことを話したら、子供達に笑われてしまった。私はいまだに少年の心を持ち合わせているのだろうか?。それとも、ガキなのだろうか?。少年とガキ、同じようなことを言っているようだが、この差は結構大きい。しかし、子供の頃からそう思っているから、いずれでも良い。それこそパイナップルとなると当時はバナナなんかよりもずっと珍しく、缶詰の外装にある印刷でしかその全体像を拝むことはなかった。それも分からない英語だらけのどこか異国情緒の輸入缶だったりして。初めて王冠を付けたその王様が我が家に現れたのは兄が修学旅行の土産として宮崎か鹿児島で買って来たものだった。母親もどう切りさばいて良いのか分からず、スイカのような切り方で食べたような気がする。
スーパーなどで売られているキャンディーに「パインアメ」というのがある。これを製造、販売している会社の名前が凄い。ズバリ!、「パイン株式会社」(他にも子供向けの商品を作っているようだが)。果汁も入って、形は律義に輪切りになったパインの形をしている。ずいぶん昔、子供の頃にも食べたような気がして、なつかしがりながら、「やはり、王様」と、少年のような気持ちになれる。
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