第219話 ■自費出版への道

 「秀コラム」の目標に「いつか本にする」というのがある。ホームページやメールという手軽に公開出来て、多くの人に読んでもらえる手段がありながら、どうして出版にこだわるかと思う人もいるかもしれない。確かに本にしたところで、「金を出してまで読みたいか?」、「一度読んだものを本にしたところで、読み直したいか?」、という疑問の前に、その印刷冊数はメルマガを購読してくれている読者数やWebにアクセスしてくれている人数よりも少なくならざるを得ない。それでも私が本にこだわるのは、いつでも、どこでもという紙媒体の強みやインターネットを利用していない人にも読んでもらいたいという気持ち。それとなりより、あまたあるホームページやメルマガでリンクを紹介して、それにコメントを加えるだけの一過性のコンテンツとの差別化である。

 今回は自費出版に向けての進捗状況を伝えよう。まず、原稿であるが、一話あたりの文量がだいたい原稿用紙2枚(400字×2枚)である。これが200話分として原稿用紙400枚になる。よくもまあ、こんなに書いたなあ、と思いながら、これをWebから読もうというのは相当辛いことだと改めて思う。本の体裁は文庫本と決めている。ハードカバーではコストが掛かり過ぎるし、私自身ハードカバーを通勤途中に読むのには難儀しているので、「どこでも」という媒体の強みはやはり、文庫本に尽きると思う。インターネットで「自費出版」というキーワードで検索をしてみた。

 いきなり最初は同人誌を自費出版しているサークルのページも引っ掛かったので、「印刷」というキーワードを加えてさらに検索を行った。結構な数が検索でき、手当たり次第に料金表を掲示しているようなところをクリックした。自費出版の多くが俳句集や写真集、自分史の類のようで、原稿400枚で文庫本というサンプル例はどこにもない。それにしても、どこも思ったより遥かに高かった。同人誌を印刷しているところも見てみたが、確かにこちらは全体的に安く感じるが、ここにも400枚で文庫本というサンプルはなく、果たしていくらぐらい掛かるのか、なかなか見当がつかない。同人誌みたいにB5版の20ページというわけにはいかないだろうし。そんな中でWebで見積りを受け付けているところのいくつかに見積りをメールで依頼してみた。

 今現在、見積りのメールが来たのは講談社のみである。「秘密」(第200話参照)のために住所や電話番号を入力しなかったためだろうか。実のところ、どこに頼んだかもはっきり覚えていない。講談社からのメールによると原稿400枚は文庫本で約二七二ページになるらしい。文庫本としては丁度良いぐらいの厚さなる。気になるお値段は百冊でざっと130万円(税込み)。一冊当たり何と1万3千円である。いきなり、椅子からずり落ちそうになった。私の希望値は一冊千円である。「秀コラム」のWebも見てもらっていて、「よくできたホームページですね。文章も毎日のように入れられているのには感心いたしました。これでは本にすることはないのではと思いました」とも書かれていた。誉めてもらったので、ここは胸でも張って素直に喜べば良いのだろうが、私なりにこれを深読みすると、「130万円も掛けて本にする程のものではありません」とも読めた。恐るべき講談社出版センター。

 と、ここまでの話では自費出版など到底無理な雰囲気であるが、サラリーマンを10年もやっていると印刷会社の幾つかにつてはある。そこに起死回生の願いを掛けるとしよう。「星君、このコラムを読んでいたら、先日メールで依頼した見積りに対して、至急回答を返すように」。