第286話 ■中流なわけがない
- 2000.06.19
- コラム
今日も通勤は満員電車である。電車が揺れる度に私の鞄が前の女性にあたる。その度にその女性が振り返り、ヒップの周りを気にしている。怪訝そうに私の顔を見返して来る。こんな経験は男性諸氏の多くが経験されたことだと思う。いや、女性にも経験があることだろう。被害妄想というか、自意識過剰というか、疑われる立場としては「それなら、満員電車なんか乗るな!」と捨て台詞の一つも吐きたくなるが、ぐっとこらえる。何も彼女達も好き好んで満員電車に乗っているわけではない。仕事に向かう労働者として、男性以上にこのような苦痛にも耐えているのだから。
皇太后が亡くなった。彼女には面識もあるはずもなく、人柄も何も、これといった感情は沸いて来ない。ところが報道を通して見えてくる「天皇制」を思うとき、穏やかな感情ではいられない。天皇制は奴隷制の名残である。義務教育では教わらないが、天皇制の派生は奴隷性社会の構造に由来している。私達が歴史として学ぶのは極一部の特権階級の人々の周辺で起きている出来事だけでしかない。年号を覚えた、大化の改新も平安京遷都も一般の人々には余り関係のないイベントだったに違いない。むしろ、古墳の造成や平安京などの都の造成、その他の大型プロジェクトは奴隷の手によって成し遂げられていることに注目すべきであろう。
当時の国民の大部分が「奴隷」であったことなんて、学校で教えてくれるはずもない。封建性社会という言葉は出て来るが、その前の社会体制が奴隷制社会であったことは教えてくれない。しかし、このことは社会発展史上の紛れもない事実である。日本人の多くは自分の生活レベルを中流だと思っている。しかし、会社まで遠く離れた所にようやく家を買い、ローンにきゅうきゅうとしながら、長時間の通勤に耐える生活が果たして中流なのだろうか?。こんな満員電車にもなんら不満がなく、従順な日本人。ほとんどの先祖が奴隷だったわけだから、中流なわけがない、と思うわけだ。
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