第387話 ■あばれはっちゃく

 東野英心さんの急死を悼み、今日は「あばれはっちゃく」の話を書こうと思う。

 昭和50年代の初頭から中頃までの子供が見る番組には実写物が結構多かった。いわゆるヒーローものとは違い、小学生を主人公にしたドラマである。ざっと数え挙げただけでも、「がんばれロボコン」、「おらあ、ガン太だ」、「少年探偵団」、「怪人二十面相」、「がんばれ、レッドビッキーズ」、「5年3組魔法組」なんていうのが好きだった。ケンちゃんシリーズも宮脇康之氏から代わった二代目ケンちゃんのシリーズもまだこの頃は続いていたかもしれない。そして、「あばれはっちゃく」もその頃の子供向けのドラマであった。

 調べたところ、昭和54年に放送が開始されていた。最初のシリーズが好評だったらしく、主人公の長太郎の子役を変える一方、「俺は~」、「男!~」、「熱血~」、「痛快~」、「逆転~(これは覚えていない)」といった、若干のタイトル変更や家族設定の変更を行いながら、5シリーズ5年間続いたようだ(後半はほとんど見ていなかった)。私は中でも初代のシリーズが好きだった。初代長太郎、吉田友紀は、はまり役。ロビンちゃんの島田歌穂も出ていたことだし。そして、シリーズ中変わらずに父親、桜間長治を演じて来たのが東野英心さんであった。

 ストーリーは毎回、長太郎が問題を起こすが、最終的には何とか解決してしまうという、今思えば予定調和のドラマでしかないが、いつも自らの力で問題を解決する長太郎の姿はいつ見てもあっぱれである。そして、頑固な父親を演じる東野さんの決め台詞は、「おめえの馬鹿さ加減にぁなー、父ちゃん情けなくって涙出てくらぁー」、というものだった。問題が父親にばれるといつもそう言って長太郎をぶっとばしていた。最高のキャスティングだったと思う。怒れば恐いが、そこにはやはり愛が感じられる。

 我が書斎の本棚に「あばれはっちゃく」の原作本がある。当時のものではなく、4年前に出されたものである。しかし、まだ読んでいない。もちろん、子供向けの本である。東野さんのあの台詞を思い出しながら、遅ればせながら読んでみることにしよう。