第58話 ■選択肢
これは高校の同窓会に出た時に思ったことであるが、人生において就職先と結婚相手の選択の影響は結構大きいなあと実感した。成績が優秀で良い大学を出たにしても家庭の事情で地元の小さな会社で働いていたりする。その一方で、「お前が教師?」と言いたくなるようなこともある。いくら女性の地位が向上したとしても、女性の人生が結婚相手で大きな影響を受けている事実は否定しがたい。
大学時代にガソリンスタンドでバイトをしていた。そのため就職の時期になるとそこの社長が「口を利いてあげるから」と熱心に石油の元売り会社への就職を勧めてくれた。今のような就職難の頃ならばきっと飛び付いていただろうが、折りからのバブル景気で就職に苦労することなく今の会社に入った。社長には「あと何年石油が出続けるか分からないので、ちょっと・・・」と恩知らずな返事をした。また、社長には娘が一人いた。歳は私より2、3才下だったと思う。社長の奥さんがことあるごとに「うちの娘を誘ってどこかに連れってくれ」やら、「うちの娘と付き合ってくれ」と私に持ち掛けて来る。もし社長のつてで就職していたら、彼女と付き合っていたかもしれないし、・・・。
と言うわけで、今私がこういう状態であるのは全てバブル経済のせいだと言える。選択次第では皆さんにお目に掛かることもなかっただろう。ひょっとした、ガソリンスタンドの副社長になっていたかもしれない。けど、退屈な田舎暮らしで、毎日油を売って生活していただろう。(なんか今回は落語のオチみたいだなあ)