第654話 ■5パーセントの恐怖

 「5パーセント」というタイトルなら、消費税の話だと思う人が多いかもしれない。そこで「恐怖」というのを足してみた。ならば、今度は失業率の話だと思う人がいるかもしれない。確かに恐怖だ。しかしものは考えよう。「95パーセントは失業者ではない」という非常にポジティブな意見もあるらしい。確かに間違いではない。けど、その恐怖感が賃金を抑制し、消費を停滞させ、景気回復を遅らせているのは事実である。このしわ寄せは5パーセントの人だけの問題ではない。しかし今日の話の本題はこれとも違う。

 「受動喫煙」という言葉を聞いたことがあるだろうか?。自分はタバコを吸わなくても、側でタバコを吸われるとその煙のいくらかは体内に吸収される、というやつだ。例えば1日に1箱程度タバコを吸う人と一緒に暮らす、会社で周りの人がタバコを吸う程度で、受動喫煙の影響が出るらしい。

 自らの判断と責任で自分の肺を汚している人が肺癌になろうと心筋梗塞を起こそうと、それは本人の勝手である。身内には迷惑な話であるが、ここでは放っておく。問題は受動喫煙による被害である。会社の安全衛生委員会で紹介された、医学的なある統計によると10万人に5,000人の人がこの被害により死亡するらしい。10万人に5,000人と言われると分かりにくいが、これはこういった医学的な統計上の母数としてのルールらしい。約分してみる。100人中5人になった。5パーセントだ。

 症状としては肺癌だったり、心筋梗塞だったりする。心筋梗塞なんか自分が喫煙していないとなると年を取ったからだと思うかもしれないが、実は受動喫煙によって永年の間に毒ガスを吸わされていたからなのかもしれない。5パーセントというのは相当なものである。大騒ぎしている狂牛病感染の比ではない。

 それでも、「95パーセントは大丈夫」というのも確かに正しい。しかし私は自己防衛のためにタバコの煙から遠ざかることにした。

(秀)