第799話 ■元ちとせは一発屋

 「神が与えた声」とか、「百年に一人の歌声」などともてはやされている彼女であるが、そろそろ旬を過ぎてしまっている。そもそも「百年に一人の歌声」とは誰が決めたキャッチフレーズなんだろうか?。それじゃあお前は彼女の前の「百年に一人の歌声」が誰だったか言えるのか?。

 彼女の実力は私も認めるところである。しかしながら、実力があるものが常にその地位を維持できないのが芸能界である。もちろん、逆に実力がなくても存在できるのも芸能界ではあるが。あの歌声ももう飽きただろう。特異な声であるが故の悲劇と言えよう。それにあの妙な振り付けと衣装にも。

 そして何よりもあの歌声は真似ができない。カラオケで歌おうにも難しいし、うまく歌えたところで盛り上がらない。おまけに私個人としては聞きたくない。まず一曲目は名刺代わりに歌声を。それはインパクトがあり成功した。しかし、二曲目以降も同じように歌声で聞かせるのは難しい。飽きてしまうからだ。

 伝統芸能として生きるべきか?。アルバムが出たそうだが、「ワダツミの木」だけでもうお腹一杯。ごちそう様。そんな連続してあの歌声を聞いて癒される気にはなれない。そのうち、「こんな歌手いたよね」と言われるのは時間の問題。とりあえず、現時点では21世紀最大の一発屋として私は記憶することにした。まさに、「百年に一人」。

(秀)