第800話 ■ツクダオリジナル

 おもちゃメーカーバンダイが同業のツクダオリジナルを買収したというニュースが飛び込んできた。買収金額4億5,000万円。意外に小さい会社だなあと思った。あのベルのマークの会社として親しんできたが、近年はヒット作もほとんどなく、苦戦していたようだ。これまでツクダオリジナルの株式を保有していたのは、玩具卸のツクダという会社だった。まったく馴染みがない。製販分離の親子関係の会社だったようだ。

 ツクダオリジナルと言えば、まず第一に「オセロ」であろう。’73年のデビューでまさに一世を風靡した。兄弟がいる家では一家に一台の確率であったような。非常に単純なゲームであるため、簡単に模倣品が出てしまった。それでも「オセロ」は登録商標であったため、模倣品は「リバース」や「リバーシー」などと名前を変え、白黒がいけないんならと、赤白といった変なものまで登場した。

 続いてのヒット作は「スライム」。得体の知れない、アメーバー状のジェル。冷たくてどろりんとしたあの質感が懐かしい。しかし、このおもちゃは触るだけで他に遊びようがない。そのうち手垢で汚れ、ジェルの中につぶつぶの様なものができ始める。私は台所の排水溝から捨ててしまった。これまた、偽物が大量に溢れた。オリジナルが非常に高価であったのが原因だろう。模倣品のネーミングは「ペタペタ」、「アメーバ」など。

 そして、私の記憶にとどまっている最新のヒット作は「ルービックキューブ」。これまた周りで大流行。一時は物不足にまでなった。そして、その物不足の間を突いて、これまた模倣品が登場。模倣品は粗悪で、滑らかに回らなかったり、ブロックが外れたりするのもあった。

 以上のように、私が知る限りのツクダオリジナルの歴史はそのオリジナリティ故に、常に模倣される歴史だったと言えよう。「オリジナル」とは皮肉な社名だったね。

(秀)