第804話 ■なぞなぞ王国

 そのむかし、なぞなぞの国はなぞなぞの王さまがおさめていました。なぞなぞの国の人びとは、なぞなぞを出し合い、いっしょうけんめい、なぞなぞのれんしゅうをしていました。ところがある日、となりのダジャレの国がせめてきて、なぞなぞの国はダジャレの国にせいふくされてしまいました。

 それまでは、「上は大水、下は大火事、なーんだ?」。「パンはパンでも食べられないパンはなーんだ?」。「ジャムパンと食パンとアンパンが道をあるいていました。後ろからメロンパンが『おーい』とこえをかけました。ふり向いたのはどのパンだったでしょう?」といったなぞなぞばかりでしたが、なぞなぞの国がダジャレの国にせいふくされてから、世の中のなぞなぞがかわってしまいました。「パンダがすきな食べ物はなーんだ?」といった感じのなぞなぞがふえてしまったのです。もちろん、その答えは「笹(ささ)」ではありません。

 ダジャレをかん字で書くと「駄洒落」となります。先とうの「駄」という字は「ねうちがなくつまらない」「そまつな」といういみです。ですからダジャレというのは、「つまらない、ことばあそび」といういみなのです。

 今のなぞなぞの国の王さまは、ダジャレの国の王子だった、ダジャレーです。それまでのなぞなぞ王はダジャレーにとらえられ、ろうやに入れられています。そこで、なぞなぞ王子が立ち上がりました。ダジャレーとなぞなぞ・ダジャレたいけつをして、とらえられているなぞなぞ王をたすけるためのぼうけんのたびのはじまりです。

 その一方で、ろうやにとじこめられた、なぞなぞ王はなぞなぞ王子がたすけに来てくれるなどとは思いもせず、まい日「王さまゲーム」をして、遊んでいました。

<つづく、かな?>

(秀)