第898話 ■カローラ

 トヨタ自動車のカローラが33年間守ってきた年間の国内新車販売台数首位の座を今年はホンダのフィットに明渡すのがほぼ確実となった。それでも33年間、新車販売ランキング首位を維持して来たのは凄いことだ。瞬間最大の記録がそのまま抜かれずに続いているわけでなく、毎年毎年ずっと1位であり続けるということは凄い。来年以降、カローラがまたその地位を奪回する可能性はあるが、今後この連続記録を破る機種はおそらくもう出てこないだろう。

 移り気な購買層の嗜好に合うように、モデルチェンジを繰り返していく開発陣、またそれを市場で売りさばく販売員。その活動が連綿と続いてきた成果としてのタイトル維持だったと思う。今回それがホンダのフィットに負けてしまう。それが途絶えることへの関係者の思いはいかばかりだろうか。しかし、ある種それが健全なマーケットの姿だと私には思える。ところで、このフィットってそれほど売れているような実感がない。私の周りでは誰も持っていない。もっともカローラに乗っている知人もいないけど。

 カローラは私と同じ年に誕生している。よってそのときのことを私が覚えているわけないが、当時のエピソードは本などで読んで、知識としては一応知っている。「プラス100ccの余裕」。これが初代カローラのキャッチコピーである。この一月前に日産はサニーをリリースし、そのサニーが1000cc。これに対して1100ccのエンジンを積んでいるカローラが「プラス100ccの余裕」とやったわけだ。何かじゃんけんの後出しのような感じだ。

 カローラにはいろいろなバリエーションがある。商用車もあれば、かつてはレビンもあった。今はなくなった、スプリンターは最初、カローラ・スプリンターという名で、カローラの名を冠していた。ここでどうしてもこの国内新車販売台数の首位を維持したいのならば、このバリエーションを一気に増やすしかない。カローラ・コロナ、カローラ・マークⅡ(そう言や最近、マークⅡ、元気ないね)、カローラ・ソアラ、カローラ・クラウン、カローラ・イプサム、カローラ・エスティマ、カローラ・プリウス、etc…。とにかく何でもカローラ・○○。400万、500万も出して、名前がカローラというものの、中身はクラウン。「嫌がって買わない」、って?。期間限定でそんな妙な名前の車が出るなら私は買うけどね。プレミア狙いで。

(秀)