第913話 ■保守新党って...
「保守新党」というのができた。もう笑うしかない。果たしてこれは新党なのだろうか?。そもそも何故この世間が忙しい年末の時期の旗揚げかというと、それは政党助成金の起算日が1月1日だからである。多くの人が失業のままの年越しを余儀なくされ、多くの中小企業の経営者が越年のための金策に走りまわっていると言うのに、自動的に税金から配分される金の取り合いのためという理由がせせこましい。確かに金策であるのは確かだが。
何故、新党でなくてはならないか?。それは比例区選出の議員の行き場を作るため。比例区選出の議員はその党を離れる場合、無所属になるか、新たに新党を旗揚げするかの選択肢しかなく、既存の政党への移籍は認められていない。だから「保守新党」は「新党」と彼らは言い張る。確かにそれまでの党首は追い出された。綱領に如何ほどの差異があるのか分からないが、その顔ぶれや名前からして世間的に新党と認めるには疑問がありすぎる。例えば、「結党から1年未満の政党には政党助成金を支払わない」という条件が付いたら、こんな党は誕生していなかったかも。
保守新党結成に際し、民主党の幹事長は同党からの離党を表明した比例区選出議員たちに「比例区の議席は党のもの。離党するなら議員を辞職せよ」と迫った。これに対し、言われた側は「議員に対する差別だ」と反論した。そもそもそんなことを言われて辞職するぐらいなら離党はしない。議員の身分だから離党に意味があるのだ。そんなことはお互い分かっている。しかし去られる側としてはそれぐらいは言っておかないと格好がつかないのだろう。ついでに離党を認めず、除籍にするのも、要はパフォーマンスだ。
この幹事長が言う「比例区の得票は選挙民が民社党に対して投票したものだ」という論理は確かに理に適っている。離党は投票してくれた人への裏切りとなる。しかし、この裏切りに対する党の責任はどうだろう。被害者の如く訴えていても、そんな候補者を立てたのは誰だ。裏切りに対する結果責任というのがあって当然だろう。しかし、党の立場として、投票してくれた人に申し訳ないという言葉が出たとは聞いていない。
そもそも新党の目論見が嘘である。まあ、この党に限らず、「政界再編」や「政権奪取」というのは建前で、まずは自分(達)が次の選挙にうかることが第一義である。政策や綱領よりも、選挙での公認と比例区では名簿の掲載順位の方が大事だ。そんな奴らが安っぽい会議室のテーブルで記者会見しているのを見ても、何のメッセージも伝わってこない。要は媚びての与党入りなんだから。多分来年の今頃にはこんな党はなくなっているだろう。
(秀)
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