第912話 ■アンバランスなブランド志向に対して

 また一年を振り返る時期になった。本当に今年の一年は早かった。省みれば、世間全体でも私的な部分でもあまり明るい話題はなかった。いくらタマちゃんが川でおどけてくれようとも、田中さんがノーベル賞を貰おうとも、多少癒された人がいたとは思うが、世情には何ら影響を与えていない。その一方で、サッカーワールドカップは随分前のことのように思える。経済効果はどうなったのやら。地元負担による施設の維持管理の問題が、これからもつきまとうことだろう。クワバラクワバラ。

 経済的な面で見た場合、株価は一向に下げ止まる雰囲気を見せない。政府が「下げ止まり」と言うと不思議とまた下がる。国債発行限度30兆円という公約も反故にされた。いったいこの宰相は約束を守ったことがあるのか?。まあ、北朝鮮に行ったぐらいだな。あとは全部丸投げ。700兆円の累計赤字のことを考えると怖くなる。個人や法人ならとっくに破産状態だ。そして、それでもまだ、銀行に金を差し出すと言うのか!。所詮「他人の金」としか思っていないからこんなことができるんだろう。使っても他人の金。借りても他人の金。そんなことだから、年度末に余った予算を使い果たすために一斉に道路を掘り返したりするんだ。

 それにしても不思議なことがいくつかある。こんなに世の中が不景気だと言うのに、高級ブランドショップが次々に上陸し、客の行列が絶えない。そんな映像をテレビで見たことが読者諸氏もあるだろう。どこにそんな金があるのか私には分からないが、確かに買っている人がいる。それでいて、彼(女)らも満員電車に揺られている。こんなのは日本だけらしい。それと、ベンツなんかででファミリーレストラン(特に廉価系の「ガスト」)やユニクロに来るのもちょっと違うだろう。ついでにこんな車でマックのドライブスルーで59円とかのハンバーガーを買うのもね。アンバランス、アンバランス。

 そこで提案。配偶者特別控除の廃止やタバコや発泡酒にケチケチと課税するでなく、贅沢品への課税強化、すなわち、「物品税」の復活を提案したい。ブランドバッグなどにジャンジャン課税してやれ。ついでに外車にも。財政的にどのくらいの効果が出るのか知らないが、間違ったブランド意識を払拭するには良い手だと思う。偽物を掴まされて、高い税金を払わされるとなると、大笑いだ。「お客さん、これは税金安いですよ。偽物ですから」と言われても買いたいかな?。

(秀)