第973話 ■自己紹介

 年度末もいよいよ明ければ新年度である。何かと新しい生活が始まる人も多いことだろう。そこでは新しい人との出会いもあり、かと言って、相対する自分の内面はあまり新しくもなかったりもするが、周りの環境の変化で気が付けば自分にも何等かの変化の痕が残っていたりする。中には新しい環境であることを逆手にとって、これまでと違った自分のキャラクターを見せようとする人もいる。メッキとしていずればれるかどうかは本人次第。

 さて、新しい人と出会った際の手順の一つである、自己紹介。簡単なものは名刺なりを差し出し、会社名と名前を名乗る。この際に自分の職務、そしてその場に居合わせる理由なるものを申し述べるときもある。この場合、あまり長々と話すものではない。あまりパーソナリティーが割り込む要素はない。たまに人事異動による挨拶というものもある。これも旧所属と名前、それに「がんばります」とか「よろしくお願いします」程度だ。

 じっくりとそれ以外の、人としての周辺情報までも交えて話をするとなると、座ってからのことになろう。自己紹介というのは自分を規定している情報(それは存在している個体そのものに関する情報、例えば年齢や身長・体重などよりも周辺情報の方が多いような気がする)の中から代表的な部分を切り出して述べるものだ。その相手にとって最も効果的である(と思われる)自分の切り口を選んで告知する。好きなものや趣味の話など。

 きっと誰もがいくつもの切り口を持っているに違いない。さてその中で何を選ぼうか?。「私はこんな人間です」とかいつまんで申告する際のアイテムとして何を選ぶか?。親しくなった後に私がこんなコラムを日々書いていることを伝えると相手は一様に驚く。日頃の私の姿からするとかなり意外に思えるのか?。「そんな暇がどこにあるんだろう?」ということかもしれない。もちろん、「コラムニストの(秀)です」、なんて自己紹介をやったことなど一度もない。いつかはやってみたいかな?!。

(秀)