第984話 ■姪の結婚式

 特に段取りや、順番など確認せずに会場に入った。先週の土曜日の姪の結婚式での話だ。遠方から駆けつける人々のため、夕方4時半からの披露宴であった。司会者らしい女性がステージ(高砂)の袖のマイクの辺りにいたので、挨拶も兼ねて、自分の順番でも確認しようと席を立とうとした途端、会場の照明は落とされ、入り口に向かってスポットライトが当たった。そのまま尻を椅子から離すことが出来なくなってしまった。

 新郎新婦の入場により、両家の結婚披露宴が始まった。仲人がいないため、司会者が新郎新婦を紹介し、続いて主賓の挨拶と続く。但し、ここで司会者は「主賓」という言葉を使わなかった。「新郎の親戚を代表して、新郎の伯父様でいらっしゃいます、○○様ご挨拶をお願いします」と紹介されて、現れたのは60歳くらいのおやじさんだった。この途端にいやーな予感がした。おじさんは新郎本人のことはさておき、親戚自慢を延々を続け、食事を目の前に、15分くらいを話した。

 聞いている方は余り実のない長話に困ってしまっただろうが、私としてはこのままあと2時間でも話して、披露宴の最後まで時間を潰してくれても良かった。しかし、例え長かろうと15分程度で話は終わってしまった。そして、次の瞬間、私の嫌な予感は的中してしまった。「続きまして、新婦の叔父様でいらっしゃいます、□□様、ご挨拶を御願い致します」と私が紹介されてしまった。

 先程の長話の最中にどうやら次は自分の番のようだと、頭の中を整理してみたが、用意していたネタはただ一つ。主賓の挨拶として使用するにはあまりにも軽い話題ではあるが、これでいくしかないと、腹を括って、冒頭はややかしこまった雰囲気で話を始めた。「若い叔父」ということでいつものように反応があったので、予定していた通りのネタを話した。挨拶に要した時間は3分ぐらいだったか。前のおやじさんが長く話したせいもあり、かなり短くした。コラム同様、スピーチも短くまとめるのが私流。

(秀)