第2027話 ■ドーパミンに支配されている

 何かと世の中が殺伐としてきている。「外出を自粛しましょう」という、真っ当なメッセージに対しても、それを発する人によっては、「お前が言うな!」とか「上から目線が気に入らない!」という感じで、炎上してしまう。発信する内容の是非ではなく、誰が言うかで世間の反応が大きく違ってくる。

 人は攻撃をしているときに脳内にドーパミンが分泌されている。別に暴力だけでなく、口喧嘩や言い合いでもそうだし、ネットで何か攻撃的なことを仕掛けている際にも、そのドーパミンは出ている。何らかの自己の主張に対する承認欲求が満たされることを願う一方で、攻撃的な投稿やコメントででも快感が得られるものだから質が悪い。自己の主張が批判される様なら、ますます攻撃的になる。もちろん、個人差はある。

 主張の正当性や具体的な裏付けの提出より先に、人は感情に支配されがちである。そういう局面でのドーパミンは厄介な存在かもしれない。批判的な投稿やコメントで、さも自らの正義感に満足しているかもしれないが、それはドーパミン(=脳内麻薬)によるものであることを正しく知る必要がありそうだ。脳が錯誤、陶酔している状態である、と。

 現在、世間で批判が溢れているパチンコについても同様。金銭的な損得よりもこのドーパミンによる快楽を求めて足を運んでいるはず。程度の差こそあれ、スマホ等のゲームも同様。総じて、依存症の陰にドーパミンあり。

(秀)