第2089話 ■還暦と数え年

 「来年、還暦なんですよ」と言うと、「いつですか?」なんて聞いてくる人がいる。「あー、この人は知らないんだな」と思ってしまう。私の誕生日がいつかを知らない、とかそんな話ではない。そもそも誕生日まで知っている人の方が怖い。そんな感じで年が明けた。

 還暦とは文字通り、暦が一回りしたことを指す。十干十二支、10と12の最小公倍数である60で、ちょうど一巡する。「丙午(ひのえうま)」の年だ。同級生の女性がいろいろと嫌な思いをしたという話も聞く。そんな迷信のせいか、同じ年生まれの人口はとても少ない。よもや今年の出生数がまた少なくなりやしないかと心配になる。

 還暦を60歳の誕生日に祝うものだと思っている人が多いが、正確には違う。そもそもこうした年齢にまつわる風習は、かつての年齢の数え方に基づいている。いわゆる、数え年だ。生まれた時に1歳となって、新年を迎える度に1つ歳を重ねる。七・五・三もそもそもは数え年での風習でもあるし、古希や喜寿、傘寿や米寿、卒寿も同様である。厄年なんてのもそうだ。落語の「子ほめ」は数え年の理屈が分からないとサゲが分からない。

 確かに今は歳に関する行事を誕生日基準で行うことが多い。そのことは十分承知している。しかし、暦が一巡するという意味や、古来からの慣習を思えば、その意義を尊重したいと自分は思う。丙上生まれのご一同、まずはご同慶。しかし、男女ともに今年は厄年(本厄)なのらしい。これは悩ましい。

(秀)