ここ数日、キュレーションメディアの事件について書いてきたが、今日もスタートはこの話題から。この事件については、業界の様々な人がいろいろなメディアに対して寄稿している。テレビや一般的なメディアに比べると、専門的で多面的な情報が書かれていて興味深い。そんな中、「リライトツール」なるものが既に存在することを知って、大きくショックを受けた。

 今回の事件はその多くの原稿がクラウドソーシングにより、極めて安価に集められ、その内容に誤りがあったり、著作権的に問題のある、いわゆるパクリに近い形が行われていたことが問題の中心である。文章は書くことを繰り返し訓練することで、多少は早く書けるようになるもの。しかし文字単価で考えて、オリジナルの文章で書いていたら、時給数百円のレベルでしかないと思われる金額設定のようだ。暗にコピペでもやってくれ、という設定なのかもしれない。

 ライティングを単価が高い業者に発注した場合、一旦とりまとめた文章が本当にオリジナルの文章かをチェックしてから納品されるらしい。このチェックの分のコストも含めての金額設定になっている。一方でDeNAの場合は、納品してくれる業者がチェックしない、加えて公開するサイト側でもチェックしない。編集機能がなかったらしい。まさに起こるべきして起きた事件。文章そのものが価値を生むのではなく、その総体としてのサイトにアクセスが集まることに価値がある、宣伝ビジネスの脆さだろう。

 さて、「リライトツール」について。文字通り、サイト内を検索して文章を探し出し、さもオリジナルのような文章を作成するプログラムのことだ。1秒間に数千文字の文章を作成する能力のものもあるらしい。それが数万円程度で販売されている。処理速度と、さもオリジナルの(ような)文章が作成できることが謳われている。例えばこれを使えば、個人が運営するアフィリエイト目的のブログサイトもすぐに立ち上げられるだろう。ひょっとすると、クラウドソーシングのライターもこれを使って、記事を作成し、納品していたかもしれない。

 仮にもし、もっとリライトツールの性能が良くなったとしたら、もし人工知能を持ったリライトツールが出てきたら。やれ、在宅勤務だ、新しい働き方だ、クラウドソーシングだ、なんて浮かれている人々よ。それらの環境や条件が整う頃には、今考えられている仕事の幾つかは既にコンピュータに取られているに違いない。

(秀)