第1013話 ■勝手にシンドバット

 気が付けば、今年でサザンオールスターズはデビュー25周年らしい。確かに小学6年生のときに「勝手にシンドバット」のレコードを買った。あれから早や、四半世紀ということか。会社の新入社員なんか、彼らがデビューした後に生まれたことになる。こういう現実に気が付くと、結構怖い。会社の私の席の隣にはこのパターンの部下が座っている。

 さて、今さら何を言っても後付けの話にしかならないが、この「勝手にシンドバット」は、タイトルの勝利である。当時流行っていた、「勝手にしやがれ」と「渚のシンドバット」をそれこそ勝手にくっつけてタイトルにしたという話は有名だが、それが良かった。これが、「胸さわぎの腰つき」では売れていなかったろう。

 「今何時?」という問いに対して、「そうね、だいたいね」、「ちょっと待ってて」、「まだ早い」と答えるセンスは新鮮で、子供心に訳もわからずにこのサビの部分だけを繰り返し歌っていた。もし、彼らのデビュー曲が「いとしのエリー」だったら、一発屋だったかもしれない。2曲目に出した「気分しだいで責めないで」がデビュー曲だったら、これほどメジャーになれなかったかもしれない。

 サザンについては思い入れのある曲を持った人も少なくなかろう。ただ、彼らの原点とも言うべきこの曲にもっと注目して欲しい。実際のレコードセールスはどうであれ、自分たちの存在を知らしめる上では、歌詞といいタイトルといい、最高のデビュー曲だったと思う。

(秀)