第1015話 ■ダイヤモンドガール
観月ありさという女優に対してはきっとその使用方法なるマニュアルが業界には存在して、彼女はそれに従ってキャスティングや演出がなされているに違いない。そのマニュアルがあまりにも克明に事細かに書かれているのか、彼女の役どころは非常に狭く、いつも決まったパターンの役に納まっている。曲がりなりにも主役である。これで良いのか、制作サイドよ。
その彼女の役どころというのは、ドジな女性。客観的な視点にちょっと欠け、インテリジェンスはあまり高くない。それでいて、素直でそのひたむきさが人に好まれ、周りの人々の生き方に影響を与える。「ナースのお仕事」シリーズでこの方向性は開花し、見事に定着してしまった。もう彼女はこれ以外の役どころの演技はできないだろうし、そのような、チャンス、配役も回ってこないだろう。これを幸と言うか、不幸と言うかは、それを業界での強みと見るかどうかで大きく違うことだろう。とりあえず、私には分からない。
さて、彼女が現在出演しているドラマの話をしよう。何ゆえ、「ダイヤモンドガール」というタイトルなのかは、次回最終回を残すまでになっても、私には分からない。最後に誰かの台詞として、「君はダイヤモンド(みたい)だ」とでも言われるのか?。もしそうなら、ベタなタイトルだし、「ダイヤモンド(みたい)だ」と言うセンスが既にペケだな。
ところがドラマ自体は佳境を迎え、個人的には結構待ち遠しい。岸谷五朗演じる弁護士の鍋島が医療過誤事件の原告代理人を引き受け、それにあたり所属していた大手の法律事務所を辞めた。それは被告となった病院の弁護を彼がいた法律事務所が引き受けたからだ。鍋島は正義感の強い、熱血弁護士。しかも庶民派。但し、個性・くせが強すぎ、人当たりは良くない。観月ありさ演じる南條は鍋島付きのアシスタントだった。
そもそもオーストラリア留学中に出会って一足先に帰国した元恋人を追いかけて法律事務所に潜り込んだのだが、ストーリーは回を追うごとに恋愛ドラマの要素は薄れていった。南條の方が余計に人情派で、鍋島にも影響を与えていく。そして彼女の「へなちょこ」という一言が鍋島に医療過誤裁判の原告代理人を引き受ける決意をさせた。最後は元恋人を敵に回しての鍋島との二人三脚。難しいと言われる、医療裁判に活路は開けるのか?。次回、最終回。
(秀)
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