第1038話 ■踊る大捜査線

 先週末、「踊る大捜査線」の映画を見てきた。「面白いか?」と聞かれると「面白い」と答える。「どのくらいか?」と聞かれると「前回の映画よりも面白い」と答える。率直な私の感想である。ただ、手放しで誉めるわけにはいかない。

 テンポは良いし、映像の見せ方もなかなかよくできていると思う。ところがストーリーの展開が飛びすぎている感じがした。犯人が何故その被害者を選んだのか、怨恨か行きずりか?、犯人と被害者の間に面識があったのかどうか?。また警察が犯人(容疑者)と断定した根拠があまりにも希薄で、これでは逮捕状も出ないはず。用心深く見ていると、何故、何故、という部分が結構出てくる。2時間ドラマではストーリーの肝と言うべきこれらの部分がかなりはしょられている。

 ちょっと蛇足で、話を前回の映画に戻すが、和久さん(いかりや長介)が監禁された際、煙が出る、ゴルフの始球式用のボールを煙突で燃やし、その煙で自分の所在を知らせるシーンがあったが、この色つきの煙というのは黒澤明監督作品の「天国と地獄」で同様のシーンが出て来た。ここでは鞄を燃やして色つきの煙が出るが、全編モノクロ作品でありながら、この煙だけには色がついていた。今回も過去の何らかも作品をまねたシーンがないか考えてみたが、今のところ、まだ気が付いていない(そもそもあるかどうかも不明だが)。

 さて、予告編というか、見どころについてだが、テレビCMで流れるシーンはストーリー的にはつながっていない。サブタイトルの「レインボーブリッジを封鎖せよ」というのはあながち嘘ではないが、….。あまり詳しく書くとネタばれになるのでやめておこう。注目は真下警部(ユースケ・サンタマリア)かな。

 オープニングでヘリコプターからレインボーブリッジを見下ろした映像にあのテーマミュージックが流れてくるだけで、もうワクワクしてしまう。まあ、ドラマ編も好きだったし、前作の映画も楽しめた人には十分面白いと思う。あまり考えずに気楽に見るのが良いかもしれない。

(秀)