第1098話 ■美容院のかつて
- 2004.01.05
- コラム
遅まきながら、明けましておめでとうございます。今年もご愛読いただきますようよろしくお願いします。仕事始めとともに、コラム始めである。
さて、あっ、と言う間に年が明けて5日目を迎え、それももう終わろうとしている。3賀日なんか本当に何やっていたのか分からない間に過ぎてしまった。こんな感じで日々一日一日過ぎて行くのかも。せめてもの救いは今年がうるう年で一日多いことぐらいか。
ところで、今年の正月は和服をほとんど見なかった。全国的にそうだったのだろうか?。私の観測では女性に限っても0.1パーセントぐらいだったような気がする。別に今年に限ったことではなかろうし、景気の影響も少なからずあろう。かつて私が子供の頃には2パーセントぐらいの割合で和服姿を見ていたような気がする。
このため昔は大晦日となると、どこの美容院もたいそう繁盛していた。別に和服を着るわけでもないのに我が母親も希望の時刻の予約が取れたのどうのと騒いでいた。この予約の時刻によって晩御飯の時刻に影響が出たりする。当事者には紅白よりも年越しそばよりも美容院の予約の方が大切である。
実家の4軒隣が小さな美容院だった。そこに次々に人が入っていき、入れ替わりに人が出てくる。出てきた人は普段着なのに首から上はお正月仕様の完成である。母親はお節作りの間にしばらく抜け出し、戻ってきてはその頭でお節作りの続きを始める。寝てしまっては髪型が崩れるから、と姉たちもその夜は炬燵で前方に伏せた形で枕をあて、うとうとしていた。
美容院の書き入れ時が大晦日だけでは終わらない場合もある。元旦に着付けまでやるところではその日の午前中一杯は大繁盛である。元旦、銭湯に朝風呂に行って、その帰りに美容院から出てくる和服姿の人とすれ違ったりする。そんな正月の風景はもはや見ることないのかな?。ちょっと寂しい。
(秀)
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