第485話 ■私の会社と社員

 職業の欄には何のためらいもなく「会社員」と書きだして、10数年が経つ。ということは、○○株式会社の社員ということであるが、この「社員」という言葉を法律用語として適用した場合、私は社員ではなくなる。商法に出て来る社員とは出資し会社を経営している人を指す。だから私のような者は従業員というのが正しい。

 まあ、一般的には社員で通用するが、わざわざここで、こんな使い分けをするのには意味がある。先日私の会社でも株主総会が行われた。この日ばかりは株主様々である。ここで、「会社は社員のものである」、というのは法律用語としては正しい。但し、一般的な、社員=従業員、という意味で用いると間違いになってしまう。法律的には会社は株主のものであって、決して、従業員や取締役のものではない。

 「私の会社」あるいは「うちの会社」という言い方をする人がいるが、この表現は、(商法上の)社員は使っていいが、従業員は使ってはいけない。「私の(が)雇われている会社」、というのが正しい。だから、先日株主総会を行ったのは、私が雇われている会社と言わなければならない。「私が勤めている会社」というのもセーフである。頭の中が混乱して来た人は最初からもう一度読み返して欲しい。

(秀)