第1121話 ■情報金庫
- 2004.03.10
- コラム
ここのところ、名簿データの流出事件が後を絶たない。さすがにヤフーBBの460万人分というのはインパクトが強かった。460万レコードとはいったいどんな形のファイルフォーマットでDVDにコピーされていたのだろうか?。普通のアプリケーションソフトではこれほどのデータは扱えない。
これに限らず、同種の過去の事件はよく引き合いに出される。今回もローソンパスの会員データが流出したことがほじくり返されていたが、ここでようやくインパクトの面でヤフーBBにその不名誉な地位を譲ることができたかもしれない。そしてジャパネットたかたでの事件、それにまだ報道が派手ではないが、住友カードでも不正なアクセスで顧客データが流出したかもしれないということが明らかになった。
あまり頻繁にこんな事件が起きると我々の意識も麻痺してしまいそうだが、次なるインパクトはやはり住基ネットだろう。各企業のIT担当者よりも各市町村などの住基ネットの担当者あたりが一番冷や冷やしているのではなかろうか?。技術的なプロでもないのだとしたら、損な役回りである。
セキュリティ会社のセコムが「情報金庫」という名の商品を売り出した。サーバーなどを格納するプレハブのような箱である。頑丈な金庫の素材で作られており(現地での組み立て式)、火災や地震にも耐え、監視カメラもセットされている。入り口にはもちろん、認証システム。ウォークインクローゼットのごとき、ウォークイン金庫である。そして異常を感知すればガードマンが駆けつける仕掛けも付いている。
このような個人データの漏洩事件は被害者がもう一方では加害者としての側面を持つ。今のところ、データはハイテクな技術の末に盗まれることよりも、単純に身近な者の手によって直接的に盗み出される可能性の方が高い。もっとローテクな部分のセキュリティが有効ということであろう。「金庫」という発想はその点では理にかなっている。
(秀)
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