第1131話 ■オレオレ詐欺現る

 ついに、我が近辺にもオレオレ詐欺の魔の手が忍びよって来た。近辺どころか、私を語る、オレオレ野郎が出現したのだ。電話を受けた実家の母親は、詐欺電話だと分かると「相手を叱責してやった」、と笑っていた。

 まず最初に電話を掛けて来た男は「2年ほど前に(私が)ある借金の保証人になった」と我が母に告げたらしい。その後、電話を替わって私の偽者の登場となる。いきなり、「オレオレ」ではなく、最初の男が「秀野(仮名)さんのお宅ですか?」と確認してきたらしい。世間一般から伝え聞いているパターンとは順序が逆である。

 相手はいずれかの卒業アルバムか同窓会名簿を手掛かりに電話を掛けてきているに違いない。しかし、ここで犯人は大きなミスを犯す。私の名前が読めないのだ。これまで誰ひとりとして私の下の名前を正しく読めた人はいない。何かと面倒なことが多いがこんなときはありがたい。読みにくい名前がセキュリティの一つとして機能している。

 「名前は何ですか?」と母親がしつこく聞くと相手は黙まりこんでしまった。続けて、「声が違う」と言うと相手は「携帯電話だから」と精一杯の応酬を試みたものの、「携帯電話でもそんな声じゃない」と一喝したところ、相手はすぐに電話を切ったらしい。せめて相手の名前が正しく読めるかどうかぐらい確認してから電話しろ!。

(秀)